ここは噴火口 だべ


カルデラの里 赤井川村 2002年10月撮影
正面に蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山、遙か遠くにニセコの山
紅葉の季節、早朝澄み切った青空に左側から昇る朝日、運の良い人だけが拝める最高の眺望です


この村は、360度山に囲まれた霞たなびく下に在る、日本で只一つの村だぞ、知らんかったべ。
カルデラって言うのは日中は暖っかく、夜は五右衛門風呂の底の様に冷え込む、特異な地形なんだ。
世界に3ヶ所ぐらい在るって聞いたけど、誰か知って人いないだろうか?


だから寒暖の差が大っきくて、美味いし野菜を栽培するのには最も適しいるんだぞ。
暖ったかい日中どんどん養分を取り込み、夜は寒いので寝てばっかり。食って寝て、食って寝て、
又食って寝て、食った養分は全部溜め込んで、人間なら太りすぎるけど、野菜はどんどん
美味くなって行くんだよ。アスパラも美味いし、芋も南瓜も、とうきびも、それにニンニクも美味いんだぞ。


一説によると,約150〜200万年前に噴火して水が溜まり始め、約一万年前の羊蹄山の大噴火の時の
地震で山の一部が崩れて水が流れ出して、出来たのが始まりと言われています。


これは自然を相手に頑張る人達への,宇宙からのささやかな贈り物だと思います。



   カルデラの 

幾度めかの氷河期が地球を覆っていた約200万年前、
北海道はまだ大陸と

地続きで、寒さを逃れて来たナウマン像や、オオツノシカが行ききしていました。そんな平穏な時を打ち破るように、空気を引き裂く大音響と共に、大噴火が起きたのです。悪魔の様な火柱と大量の土砂を噴き上げ、それは幾日も幾日も続き、やがて死に絶えた噴火口は、ポッカリと大きな口を開けていました。カルデラの誕生です。北側には氷河の侵入を防ぐかのように温かみの在る女性的な稜線を持った北丸山が出現し、南側には災害の進入を防ぐかのように、荒々しい男性的な稜線を持った南丸山が出現したのです。いつしか二つの山は互いに惹かれるようになり、夫婦の契りを結び、互いの手を握り理想郷の構築を目指す様になったのです。

長い年月が過ぎ、回りには豊かな緑が茂り、動物が住み着き、鳥が飛び交う様になってきました。しかし夫婦岩にも叶わぬ事が在りました。それはカルデラに満々と湛えた湖に、 新しい命を育む事が出来なかったのです。やがて大陸の移動で、北海道は大陸から離れ、島となり、日本海が出来、氷河期が去り、しかし悩みは消えませんでした。また長い年月が過ぎていきました。そしてついに夫婦山の思いが叶う時が来たのです。
1万年前南側に40k離れた所で大噴火が起きたのです。羊蹄山の出現です。地震はカルデラにも襲って来ました。夫婦山はこの時を待っていたかのように、握り締めていた片手をお互いに離したのです。溜まっていた水は小川となって流れ出し、やがて山を削り濁流となって余市川を下り、海へ流れ込んだのです。その後長い年月で水の引いたカルデラにも草木が生え、小川には海から魚も遡上するように成ってきました。そして人々が住み着くように成ったのです。200万年という長い年月を掛けて、夫婦山が望んでいた災害の少ない、寒暖の差が大きく美味しい作物の取れる、理想郷が出来たのです。今も私たちは夫婦山に見守られ、懐に抱かれながらよりよい理想郷を目指して頑張っています

優しい稜線の山が北丸山
険しい稜線の南丸山